管理栄養士の私が感じた「切り干し大根はなんとカルシウム23倍!」に隠された罠。
先日、干し野菜ネットを手に入れた嬉しさのあまり、色々と野菜を干してみました。
初めての干し野菜作りでルンルンし、
記事をまとめるにあたり、本を読んだり、ネット記事を読んだりしました。
その中で、管理栄養士である私が、
日頃から感じていた違和感をビンビン感じたので、
今回はそのことについて触れたいと思います。
「カルシウム23倍」の違和感。
特にネットの記事に多く見られたこの手の記述。
「生の大根に比べて切り干し大根はカルシウムがなんと23倍にもなるんです!」
他にも、エネルギー15倍、食物繊維16倍など、
あたかも、切り干し大根にすると栄養価がすさまじく高くなるよ、
と言わんばかりの謳い文句が並んでいました。
あるサイトにはこのようなグラフが。
※数値を参考にし、グラフは自分で作成しました。
確かにこのグラフを見ると、切り干し大根の栄養すごい!って思いますよね。
でもこのグラフには罠が仕込まれています。
私が感じる違和感はこの部分。
乾物と生の野菜を同じ重さで比較していること。
乾物で100gと生で100g。
比較対象がおかしいと思いませんか?
生の大根100gと言ったら、
ふろふき大根やおでんの大根一切れくらい。
卵1個がおよそ50gなので、卵2個分くらいの大きさです。
一方、切り干し大根100gってどれくらいの量か想像できますか?
通常スーパーなどでみかける切り干し大根は、
1袋30g〜40g入り。
100gはかなりの量だということが分かると思います。
そりゃあ、生の大根100gと比べたら、
栄養が何十倍にもなるのは当たり前の話です。
でも、切り干し大根を一度に100gも食べる人なんて、いませんよね?
1食分で比較すべし。
切り干し大根の栄養価を真っ当に評価するのであれば、
1食分の重量で比較するべきだと私は思います。
切り干し大根1袋(30g)で3〜4人前は作れるので、
1回で食べる切り干し大根の量は、10g程度です。
なので、生の大根100gと切り干し大根10gを比較することで、
より現実的な評価ができます。
切り干し大根10gと生の大根100gを比べたグラフです。
最初のグラフの切り干し大根の数値を、全て1/10にしました。
真実味を帯びました。
カルシウムは23倍ではなく、2.5倍です。
こっちのグラフでも、十分に切り干し大根のアドバンテージは伝わると思うのだけれど、世の中的には、最初のグラフの方が好まれるんだろうな。
商品を売る側も、消費者に買ってもらうために、
あの手この手で揺さぶりをかけてきますから、
いかに振り回されないかを日々考えています。
これが絶対正しいという食べ物なんか無くて、
自分で正しいと思うものを納得して選択していきたいものです。