TESORO

リサイクルショップや100円ショップでの買い物の記録

海外旅行してないのに赤痢になったよ。実際の症状と、治療と、感染経路。

 

それは6年前のこと。私は赤痢になりました。

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赤痢って東南アジア帰りの旅行者が罹るイメージがありませんか?私もそう思っていました。

ところがどっこい。東南アジアどころか海外旅行すらしていなかった私が赤痢に感染しちゃったのです。

そこで、赤痢経験者の私が、実際の症状、治療、感染経路、をお話ししたいと思います。

そもそも赤痢ってどんな病気?

世界中でみられる感染症ですが、衛生環境の劣悪な地域に多く、わが国でも年間数百例の報告があります。とくにインド、インドネシア、タイなどアジア地域からの輸入症例が多くみられます。

引用元:関西空港検疫所HPより

症状

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異変

その日、朝からお腹の調子が良くありませんでした。ただ、私はもともとお腹を下しやすくトイレに駆け込むこともしょっちゅうだったので、「あ、またか」ぐらいの軽い気持ちで、いつもと同じように職場に出勤しました。

職場に着いてからも腹痛は治まらず、何度もトイレに駆け込みました。
「あれー、おかしいな。いつもは2、3回トイレ行ったらお腹痛いの治るのになー。」時間が経つにつれ、トイレに駆け込む回数は多くなる。出勤して2時間で早退決定。

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ここで問題が一つ。この体で電車に乗れるのか?自宅までは電車で20分。心を無にしてなんとか自宅最寄り駅に到着し、ほっと一安心。最寄り駅から家までは歩いて10分。ここで一発気合いを入れておこうという思いで、駅のトイレをお借りしました。トイレを出ようとした所で大きな異変が発生。

トイレで倒れる

猛烈な吐き気で身動きが取れない。お腹を下すことは多くても、上から戻すことは滅多にない私。
「えっ、これやばくない?」
トイレの床に倒れこんだ私に差し込んだ希望の光。「緊急呼び出しボタン。」これだ、ポチっ。

すぐに駅員さんが駆けつけてくれ、体がしんどすぎて動けない旨を伝えると、車椅子で駅務室に運んでくれました。お水をくださったり、室温を気にしてくださったり。とてもよくしてくださいました。そこのベッドで意識を失うように眠りにつきました。

おそらく2、3時間は寝たのだろうか。目が覚めたらお昼を過ぎていました。吐き気も治まり、お腹もそんなに痛くない。
「あー助かった。」
コンビニのトイレを1件経由し、家までの辿り着きました。

治まらない腹痛

無事に家に帰り着いたものの、腹痛は治まらず。トイレと布団の往復を忙しなく繰り返します。

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ここで最終兵器投入を決意。
ロキソニン飲もう。」

基本的に医者や薬を信じない派の私が、唯一手放せない薬。ロキソニン。ひどい生理痛がケロッと治るし、熱があっても嘘みたいに引いていく。ロキソニンさえ飲めば症状は治まるはずだと信じていた。

が、全然効かない。何で?あの魔法の薬が効かない腹痛がこの世に存在するの?私の中のロキソニン神話が崩れ去った瞬間でした。

腹痛が限界に。

ここら辺から、下痢慣れしている私でもさすがに辛かった。同棲していた彼氏(現在の旦那様)に励まされながら腹痛と戦いましたが、夜になり限界が訪れました。

「救急車呼ぼう。」

119番して数分後、救急車がやってきました。アパートの2階から救急車まで運ばれる時、1階の住人と思しき少女が玄関から出てきて、嵐の「Happiness」をかけてくれました。「走り出せ〜」「走り出せ〜」私へのエールだったのでしょうか?

救急車の中で体温を測ったら39℃以上ありました。熱が出ていることに気づかなかったくらいの激しい腹痛だったようです。救急隊員の方にも「よくここまで耐えたね」と驚かれました。

救急車に乗り込んだものの、なかなか発車せず。どうやら無線で受け入れ可能な病院を探している模様。「あー、これが俗に言うたらい廻しかー。そりゃ、こんな夜に下痢ごときで救急患者を受け入れるなんて面倒くさいだろうよ。」

入院決定。

無事に病院に運ばれた私。お医者さんの軽い一言で私の入院生活は始まった。
「このまま家に帰っても不安でしょ?とりあえず今日は入院していったら?」
「は、はい。」

 私の人生初の入院は、下痢でした。

その夜は寝る暇もないくらい、病室とトイレを往復。トイレの目の前の病室だったのは幸いでした。除菌用のペーパーも渡されました。使ったトイレの便座とかノブとか手すりとかは毎回拭いてね、とのこと。

入院中の治療

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検査

入院翌日。朝から車椅子に乗せられて、検査で病院内を連れ回されました。当然、救急車で運ばれた時の格好のまま。ダサい家着。ダサいメガネ。ボサボサの髪の毛。見せしめの刑のようでした。
検査内容も酷でして。私の下り続けるお腹に冷たいジェルを塗りたくって、機械でぐいぐい押し付けるもんだから。検査後は速攻トイレダッシュ。

検査の結果。
「腸がパンパンに腫れていますね。白血球の数値も異常に高いです。恐らく腸がひどい炎症を起こしていると思います。もう少し入院して様子を見ましょう。」
「は、はい。」

点滴

入院中は常に点滴を打ち続けていました。専門家ではないので詳しいことは分かりませんが、(一応管理栄養士の私の知識をフル出動させて点滴の種類を読み取った結果)脱水予防のための液(点滴版ポカリみたいなの?)と抗生物質を打たれていたようでした。

絶食

とにかく辛かったのは、絶飲絶食だったこと。食事時間の度に廊下からいい匂いがしてきて、それに耐えるのが本当に辛かった。あまりに我慢ができなくなり、看護師さんに私も何か食べたいです!と主張したら、重湯(ほぼ汁だけのお粥)がでてきました。

経過

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入院1日目→ひどい症状は治まりつつあるが、まだまだトイレ通いが続く。
入院2日目→トイレに行く回数も減り、精神的にも落ち着く。
入院3日目→ほぼ症状が無くなり、暇。
入院4日目→かなり暇。そろそろ退院できるかな?

入院して3日でほぼ症状も軽快しました。すぐ退院できるだろうと思っていた私ですが、なかなか退院のお声がかからず。入院が長引けば、費用も気になってくるところです。

「看護師さん、私、退院したいです。」
「明日から3連休だから先生もお休みなの。退院の許可は先生しか出せないから、連休明けまで待って。」

えっ!あと3日も入院なんて無理。体力的にも、精神的にも、金銭的にも。必死に訴えてなんとか許可をもらい、入院5日目に退院できました。ちなみに入院費用は7万円くらいで、痛い出費でした。

退院後の生活

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食に困る

症状は完全に治まっていましたが、胃腸は完全に弱り切ったままでした。それに加え、食べたら下すという恐怖心もあり、お腹は空いているんだけど何を食べたらいいか分からないという状況でした。自分で料理したものを食べるのも怖かったので、近所のガストに通って、ひたすらミニうどんとミニ雑炊を注文していました。

赤痢発覚

そんな時、入院していた病院から電話が。
「採取した便から赤痢が出ました。保健所が今から調査に行くので自宅待機していてください。」

!!!

大学時代、卒業研究で台所スポンジの菌の研究をするくらい、微生物学が大好きだった私は思った。
赤痢って3類感染症じゃん!これは厄介なことになりそうだぞ。」

保健所による調査

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3類感染症赤痢

細菌性赤痢感染症法で「3類感染症」に指定されていて、患者を赤痢と診断した医師は保健所に届けなければならないのです。

ちなみに「3類感染症」に分類されている感染症はこの5つ。

  1. コレラ
  2. 細菌性赤痢
  3. 腸管出血性大腸菌感染症
  4. 腸チフス
  5. パラチフス

保健所による聞き取り調査

休日にも関わらず保健所の職員2名が自宅にやってきました。

  • 生活習慣
  • 発症前に食べたもの
  • 発症前に行ったところ
  • 同居人について

いろいろ質問されました。

財布の中に溜まっていたレシートから、行った所や食べた物を思い起こす過程は、まるで推理ゲームみたい。私がびっくりドンキーのレシートを持っていたからか、びっくりドンキーのオススメのハンバーグとか教えてくれたり、和やかな雰囲気でした。

発症の数日前に賞味期限の切れたイカの塩辛を食べたのが腹痛の原因だと信じ込んでいた私。しかし、保健所の方の聞き取り調査の結果、驚きの真実が明らかになりました。

感染経路

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保健所の方が目をつけたのは、私が食べたイカの塩辛ではなく、同居人の彼氏でした。

  • 東南アジア帰り
  • 東南アジアでお腹の調子が悪かった

「おそらく、彼氏さんからの二次感染でしょう。」えっ!塩辛じゃないの?
「イカの塩辛は塩分濃度が高く菌が繁殖しにくいので、原因としては考えにくいですね」

感染経路は恐らく同居人の彼氏だという衝撃の事実が発覚。赤痢菌は感染力が強く、少ない菌量でも発症するのが特徴で、家庭内での二次感染も多いそうです。すぐに彼氏も検便をすることになりました。

結果、彼氏の便からは赤痢菌は検出されませんでした。東南アジアから帰ってきて2週間くらい経っていたので菌が排出されきったのでしょう、とのこと。

結局、感染経路の断定はできませんでしたが、彼氏からの二次感染の線が限りなく黒に近いグレーだという結論で落ち着きました。

まとめ

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衛生環境が劣悪な地域に多いとされる感染症、細菌性赤痢。感染力がとても強いので、家庭内の二次感染も多く、東南アジアに行ったことがない私でも発症したのでした。時が経ち、あの時の辛い経験は思い出に変わりました。貴重な経験だったな、と。

ちなみにこの騒動の半年後、私と彼氏は東南アジアを数ヶ月うろうろしましたが、一度もお腹を壊すことはありませんでしたよ。

健康第一、私が今気をつけている食習慣。

tesorosagashi.hatenablog.com

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